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2008年11月28日ネジを締めるという事

 自転車は各部品が圧入もしくはボルトorナット締めになっています。
 圧入されている部分がトラブルを起こすケースは少なくトラブってもユーザーが自身で解決できるケースはほとんどありませんのでプロにお願いするしかないでしょう。
 一方ボルトorナット締めのトラブルは頻繁に起きるとともにプロを頼らずとも解決できる場合も多々あります。
 緩んだら締め直せば良いのはもちろんですがそれ以外にも注意すべき点があります。

 まずは緩む前に対処する事です。
 ネジで締め込まれた各パーツやボルトなどにはネジを締め込む事によって応力がかかりほんの僅かですがボルトは伸びる方向にワッシャーや固定された対象物はつぶれる方向に変形します。
 これら目に見えない事象によってボルトの緩みは完全には防ぐ事はできませんので適当なタイミングで増締めを行う必要があります。

 増締めの際に気をつけなければいけないのは締めすぎない事です。締めすぎればパーツやボルト、ワッシャーの変形がおこりいくら締めても固定できない様になってしまいます。

 適正トルクを知るにはトルクレンチを使うのが本当ですが高価な上に定期的に校正もしなければいけませんので厄介です。
 現実的なのは経験を積んで適正トルクを知る事でしょうが廃棄するようなパーツが有ったらネジ山がだめになるまで思いっきり締め込んで締め過ぎとはどういうモノなのかを経験するのも良いと思います。
 締めすぎるとある一定のところから手応えが弱くなります。これが逝っちゃった瞬間です。この手応えを覚えておくと締め過ぎを未然に防ぐ手助けになるでしょう。

 緩んだ場合の対処法
 最初の締め込みが甘かった場合には単に締め直せば作業完了です。
 厄介なのは最初の締め込みが適当だったのに緩んだ場合です。
 この場合は元の通り締め直してもまた緩んでくるはずですから何らかの対応策を講じなければいけません。何度も締め付けを行っているとスレッドにも締め付ける対象物にもストレスがかかって痛んでしまいます。最悪の場合、スレッドを破損したり金属疲労でパーツにクラックが入ってしまったりしますので繰り返し締め付ける事はさけましょう。

 まずは緩む原因を特定します。
 パーツ精度や素材が悪いと判断される場合にはパーツ交換となります。最も多いのはボルトもしくはワッシャーの交換でしょう。
 次に考えられるのは緩み止め剤の不足もしくは選択の誤りです。自転車パーツにはあらかじめ要所要所に緩み止め剤が着いています。何らかの都合でこれが付いていない。もしくは薄い場合には足してやらなければいけません。
 スレッドに適当な強度の緩み止め剤を塗ってから適正トルクで締め直せば再発は防げるはずです。
 この緩み止め剤は緩み止め以外にも素材の強度が足りない場合に低トルクで取り付ける様なケースでも活用できます。

 まずネジで物が固定できるのはネジ山同士の摩擦力によるモノです。この摩擦力を適当な範囲内におさめるために様々な工夫がなされています。
 最も肝心なのは締め付けトルクの管理です。締め付けトルクは専用の測定器を使って締め付けを行わないと判りませんのでたいていはカンで行われているのですが優れたメカニックは適正トルクをうまく読んで適切な締め付けトルクで作業を進める事ができます。
 一方経験の浅いメカニックは力一杯締めていたりしますのでいつもは問題無くてもスパナが変わった瞬間パーツを壊したりします。

 利口なおバカさんはトルクレンチを絶対視してカーボンパーツなどの軽量高級品を大破させます。

 ボルトを締めるという一見単純な事だけでも要素は無限に思えるほどあります。

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