LINK
言いたい放題のページ

2003年3月13日 ソフト不在の時代

 物事なんでもソフトとハードでできています。パソコンだと比較的はっきりしております。パソコン本体はハードでありOSやエクセルなどはソフトです。

 ハードが欲しかったらその物を購入しするしかありません。消費者はお金を払って購入します。購入すると明らかにその物はそこに有ります。コピーは容易にはできません。手で触る事もできます。

 ソフトは購入しなくても違法コピーでゲットする事が往々に行われています。ただです。元から無料のソフトも有るせいか罪悪感無しにやっているのを見かけます。そしてソフトはその物を直に手に取る事はできません。

 一方でパソコンのハードメーカーのユーザーサポートはソフトですがハードメーカーがある程度無料(と言うよりハード購入時の料金に含まれている)で提供しています。

 ソフトウエアは販売する時に綺麗な箱に入って販売されています。高速ネットワーク時代なのだからネットで流通させるという考え方もできますが、これなどはソフトを販売するのにハード的な外観を持たせた方が消費者にお金を出してもらいやすいということではないでしょうか??

 斯様にソフトとハードは入り交じっているものです。では自転車ではどうなのでしょう。まず完成車はハードと解釈して問題ないでしょう。買うまでの店員からの説明はソフトですがこれは無料(無料といっても店側は在庫をさばきたいのだから多分にゲインがかかったソフトだが)という事になっています。アフターケアはソフト的側面が多いのですがその自転車が初めから抱えている問題と解釈されると無料という事になります。追加パーツをつけるのはハードは有料ですがソフトである取り付け工賃は無料の店を見受けます。ハードは有料でソフトは無料なのです。

 この様にとかく無料になりがちなソフトですがその結果企業や各販売店はソフト軽視(回避)な経営をせざるをえません。もしソフト的なものに手間ひまかけるとその分ハードの料金に上乗せしなければいけませんがそれでは価格競争に負けてしまいます。

 そこでそれぞれ工夫をこらすのです。まずは某販売店、自転車売り場は一階に設けず極力上部の階にします。こうすれば『私の自転車、調子悪いのでちょっと見て下さい』と気楽に頼めなくなります。タダでソフトを提供しないでも良くなります。店内がよごれる事も有りません。根性で修理を頼みに来た客には納期がたっぷりかかるように説明します。これでほとんど撃沈です。

 完成車はカタログに嘘の無い範囲で手を抜きます(というか消費者の価格指向に合わせているとも言える。値札とブランド名と色しか評価してくれないのだから省けるコストを省いて安い値札を付けようと企業努力をするのは当たり前。努力する側も空しい思いはしていると思う)。BBだけ安物を使うのは他でも書きました。

 良心的といわれている販売店でもソフトは無料もしくは人件費を考えれば不適切な料金で提供されている場合が有ります。だからこそ「あの店は親切で良心的」と評判になるのでしょうが、そのような営業を続けていればますます消費者はソフトは無料が当たり前と考えてしまいます。販売店だってハードの売上でソフト提供分をカバーしなければいけないのですからソフト面に関してはビミョーにさじ加減を加えてくるのは容易に想像できます。具体的にいえば目に見えない所では手を抜くのです。愛想笑いは一流で店自体も綺麗でPOPもできが良い。客にばれそうな所は手を入れてそれ以外はエ〜イ ママヨ!!と売ってしまう事も有るでしょう。

 もうひとつ気になるのは自転車好きで気のいい店主がソフト無料(もしくはほぼ無料)提供をしてしまう事です。お客さんの喜ぶ顔ですべてが解決してしまう気質の人は業界全体から見ればNGでしょう。その人が元気なうちはお客さんの面倒を見ても一旦体調をくずして閉店となれば残されたお客さんはどうするのでしょう??本で勉強するのでしょうか??それとも他店で仕方なくいやいや有料でソフトの提供を受けるのでしょうか??はたまた整備不良のまま自転車に乗るのでしょうか??全体を見ないでその場その時の自分の感情だけで物事を判断すればたとえ悪意はなくともいけない事だと思います。

 私は自転車ユーザーにも適切なソフトウエア料金を支払ってもらう事を一つの目的としてスクールを開業したわけですが、自転車業界全体に蔓延するソフト軽視の空気が私一人の力で一年や二年で解決するとは思っていません。しかしこれが自分のやるべき仕事とも思っています。

 朝起きてやるべき事が有る私は幸せです。

 みなさん、ながながと御静聴ありがとうございました。

LINK