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2006年7月11日 サイメン誕生からDVD誕生秘話

 秘話って秘密の話って書きますがこれから書く事は秘密でもなんでもないです。秘密なら書かないよね。でも語呂が良いんで秘話と付けてみました。
 サイメンDVDは2004年春に企画が始まってその年の秋から制作開始、実際売り出したのは去年(2005)の初めころからです。歴史がごく浅いんですが実際にはサイメンの歴史がズルズルと有って初めてサイメンDVDは存在しているんです。
 まずサイクルメンテナンスは1992年に自転車の出張修理専門店として産声を上げました。

 そもそも自転車出張修理を始めた理由が自転車店の大幅減少と修理から逃げ回る自転車店が多くなった事で自転車業界全体が歪んでいくのではと今考えても大げさと思えるような前提が有っての事です。
 その前提をふまえて電話一本で修理に行く仕事を作れば利益を上げつつ顧客にも喜んでもらえ、業界全体としても正常な方向に向かうのではないかと仮定したのです。
 で、やってみてどうだったかというと、じきに利益が出たんですね。3年目には利益を生み出す仕組みがすっかり見えちゃった。
 次にどうしたかと言うとこの仕事を世間に広げるぞ!となります。普通は従業員を雇って会社を大きくしてとなるんでしょうがそうはしませんでした。これにも理由が有って一つには飯倉には大きな会社のトップなんて似合わない事、二つ目は別の方法を思いついたからです。
 一つ目の理由は飯倉を直接見た人は想像付くと思います。とてもではないですが大きな組織の上に立つような人間ではありません。
 二つ目の別の方法ってのがけっこう傑作なのです。まずは自分がその商売を成り立つようにする。商売がうまく回ればまねする人がいる。まねする人が増えればそのうち世間に広まる。最後には飯倉より商売のうまい人が現れて飯倉が不要になった所でハイさようなら、となるはずだったんです。
 この手だと見返りが無いではないですか!?と言われたりしますがそもそもの発端が

こんな世界を作ってみたい!

 なのですからそれを手伝ってくれる人が現れたのならラッキーです。しかもその人が自費でリスクも自ら負ってやってくれるというのですからありがたいではないですか。
 で、最初のうちは思った通りにいったんですな。3年目には初年度の負債も消えてマスコミも取材にくるようになりましたので爆発的にまねする人が増えたんです。
 しかし、残念ながら商売を軌道に乗せられる人は少なかったんです。
 だいたい4年目ころから商売の仕方を教えてくれと問い合わせが増えたんですが赤の他人にもうけ方を教えるなんてそれこそ非常識な言い分です。
 ところが困った事に開業する人が軒並みつぶれていってしまうんで、これじゃいかんという事で情報を開示する方にシフトしたんです。
 そうこうしているうちに北は北海道から南は九州まで自転車の出張修理をする人が現れてきちんと商売として継続できるようになってしまいました。めでたしめでたし。
 計算外だったのは飯倉より上手に商売ができて飯倉がおさえたエリア(つまりマーケットリサーチ的には最もおいしいエリア)をカッパライにくるようなガッツのある人物が現れなかった事です。
 こんな具合に出張修理の方はひとまずやるべき事は一段落でして次に全国的に業者を連携させる事は出来ない物かと考えました。これが実現できれば社会の認知度を上げるとともに広告費の圧縮と安定した仕事量の確保をしようではないかと考えたわけです。
 この作戦はDVDと平行して行おうとしたら忙しすぎて頓挫しています。いつかはこれにも手を出すかもです。

 マニア向けにはサンデーメカニックスクールを2000年に作ったのです。これのねらいはマニアのマシンもそこいらのママチャリ同様整備不良が多い事を痛感しているからです。
 普通それなりのお金を払えば良い物が手に入ると思ってしまうでしょうが実際にはそうはなっていません。高い値札を付けた商品には高い理由付けが必要ですのでその理由付けに経費がかかってしまってます。
 例えばブランド物はそのブランドイメージを維持するために多大な出費がなされています。その出費はどこかが助成金を出してくれているわけではありません。そのブランド品を買う人が負担するわけです。当然の事ながらその商品が元々持っている価値にブランド分が乗っかりますので高値で買う事になります。
 自転車のブランドは軽量化だったりしますのでこれまた要も無いところに消費者の予算は飛んでいきます。
 また、自転車は特殊な商品で工場で出来た物がそのまま完成品とはなりません。
 ショップで、またはオーナー自身でフィッティングなどを施さないと完璧に近いマシンとは言えません。
 その工賃を値札に反映できない事から微妙に整備不良なマシンが世の中にあふれかえっているのですが、当の本人も自分のマシンが整備不良とは思っていなかったりします。
 そこで自ら工具を手に取って「自分のマシンを整備してみましょう、自分のマシンをほぼ完璧なところまで持っていきましょう」という提案を具現化したのが「サンデーメカニックスクール」なのです。
 これに関しても出張修理専業と同様前例がなかったので最初は手探りだったのですが3年もするとほぼ商売として成り立たせることができました。
 さて商売として成り立つ事が判明すれば出張修理の時と同様にまねする人が現れて・・・と考えたのですがなんと今のところ全く気配がありません。推測なのですが出張修理が数百万で開業できるのに対してスクールは数千万かかってしまうところがネックなのとかなり古いマシンと最新のマシンどちらも分かっていないといけないので小手先の技では通用しないのが二番煎じの出現を拒んでいるのだと思います。
 さて困りました。飯倉は飽きっぽいので新手の商売を始めても数年で飽きてしまいます。飽きると投げ出す性格なのでスクールも誰かに持っていってもらいたかったのですが全く見込みが立ちません。

 そこで思い立ったのがDVDです。やっとDVDの話です。ここまで読んでくれた皆さん。ありがとう。

 誰もやってくれそうにないならマシンのオーナー自らやってもらいましょうという事でDVDで飯倉のテクニックや裏技を披露すれば良いではないかという事に。
 DVDは一回作ってしまえばあとはコピーですので飯倉が毎回実演する必要はありません。
 幸いカメラも編集機もほぼ新規の設備投資無しで事足ります。奇跡的にノンリニア編集の環境がこの数年で急速に安くなりました。DVDの視聴環境も整ったところで期は熟したって事です。
 物を売りつけて後は知らないよ!ではなく実際に使い物になるDVDである事が肝要です。しかし使い物になる品を作るのはやはり大変です。骨身に沁みました。おかげさまで反響はおおむね良好、これは商機有りと見てただいま4作品をリリース中。
 加えて書籍も出したんですがこちらも作るのが大変だったのです。それでもDVDと書籍では使い勝手が違いますので大いに存在価値の有るメディアです。
 最終的にDVD、書籍ともそれぞれ10巻ずつくらいのボリュームになる予定ですのでこれで飯倉のテクニックを盗んでもらいましょう。
 このようにサイクルメンテナンスのやってきた事は一見とりとめの無い事のように見えますが、終始世に出回っている整備不良の自転車をなんとか無くそうという一方向に向いている事が分かると思います。また常時一方向に向いていたから事が上手く運んでいるのかもしれません。
 いずれにしてもサイメンDVD、書籍の両方ともマーケットの仕組みを上手く使って手早く儲けようという考えから作った物ではありません。

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