ホイールの歪み試験の結果

IMG_1872シマノ11S化に伴い手組ホイールのリアの組み方を考え直さねばなぁと思っております。一言で言えば11S化とは手組殺しであって「手組の存在は許すけど価値は無いよ」ということです。
フリーボディーが幅広になったぶんフリー側のフランジが内側に入ってしまいオチョコ量が増えるというかいずれにせよ横剛性の確保に難儀する規格になってしまいました。デュラに続いてアルテが登場、おそらく来年には105も11S化されて手組オワコン計画コンプリートになります。
たしかカンパが10S化した時だったと記憶しているんですがやけに反フリー側のスポークテンションが上げらんなくなったなぁと思ったものですがカンパとは宗教ですのでどうでもいいやと思っていたんですよ。でもシマノにやられちまうとシマノ=実用品でありプライベートでも長年シマノオンリーでやってきた飯倉としては困りますな。
で、困っていても事態は刻一刻と変わっていってるのでそれに適応せねばならんです。今のところコレでも体重が60kg以下の人なら問題無いと読んでますが75kg以上の方には説得して他のホイールをお勧めしています。これまで何本か9000デュラのハブで手組ホイールを組んだんですが全て体重が軽い人向けだけ。でも今後のことを考えればほぼ誰にでも11Sハブで組めるホイールを提供出来る様にならんといかんのです。
さて、本題の歪み試験ですが横剛性が無い(低い)という飯倉の主張を実験で検証するのが目的です。やり方はごく単純、横方向に重りをぶら下げてその時の歪み量を計測して比較検討するというものです。
本来ならガッツリとしたジグに取り付けて正確に計測すべきでしょうがそこまで手間ひまかけなくても比較対象さえきちんと用意しておけば相対値は出せるわけでそれで充分と考えました。
ジャンクの鉄フレームのヘッドチューブを万力で固定、リアハブ軸(クイック)をジャッキに乗る様にしてヘッドチューブとハブ軸とを結んだ先に水の入ったポリタンク(18.4kg)をぶら下げた時にどれだけ歪むかを計測しました。
比較対象は以下の2ホイール

FH-9000フリーハブ マビックオープンプロCD ホシ14-15バテッドスポーク ホシアルミニップル
FH-5700フリーハブ マビックオープンプロCD ホシ14-15バテッドスポーク ホシアルミニップル

スポークテンションは両方ともフリー側を1300Nで揃えてあります。ちなみに反フリー側はデュラが840、105は900になりました。計測はホーザンとパークの両方のスポークテンションメーターを使っています。
重りが18kgというのは特に根拠があるわけではなく手持ちの重いものがコレだったから、センターゲージはその横に置いた定規を読むために使いました。
重りの上げ下げにはバイスグリップを取っ手代わりに付けたトーストラップを使っています。重りを下ろす際にも確認のため再度目盛りを読んでます。

測定結果はこのように

フリーが下   フリーが上(写真ではこの状態)
FH-9000    9mm       8mm
FH-5700 7mm  6mm

計測値が一桁なのはお恥ずかしい次第ですがどうかご勘弁を、複数回計測して平均値を出していますが細かな数値を並べてもどうかなと思いますんで上記のデーターでヨシとしてください。いずれにせよ11Sハブの方が歪み量が大きいです(当たり前)、そしてフレームの歪みやフロアクッションの影響でジャッキが沈むことを考えれば今回の計測値よりも両者の差はもっと大きいはずです。
ちなみにフリー側のスポークテンションを1300で揃えてありますがこれはこのパーツ構成ではギンギンに張っている状態です。なぜこうしたかと言えばほどほどのテンションにすると10sでは大丈夫でも11Sハブ(今回の場合FH-9000)では反フリー側のスポークがほとんど張れなくなってしまうからです。片側のスポークがほとんど張れていないという事はホイールとして成り立っていないと言われてもしょうがないんじゃないでしょうか?

実験から得られた結論
シマノ11Sフリーハブは横剛性が低い
シマノ11Sフリーハブはスポークテンションを高めにするしかない
シマノ11Sフリーハブは11Sで運用する場合以外メリットは無い

参考に8S時代のも計測しました

フリーが下   フリーが上
FH-7400 7mm  5mm

30年くらい前のハブに最新のハブは負けてます。というか徐々に段数を増やして高性能になったと宣伝しつつ実はホイールの性能としてはマイナス方向にしか行ってないという事です。横剛性を低くして反フリー側のスポークを張れない様にして相対的に完組が高性能に見える様にする、なかなか良い仕組みです。ジワジワ攻めていくところがブブカっぽくってイイです!段数が増えてますます完組に追い込まれていくわけですな、ちなみにカンパのハブにしても事態は全く好転しません。

対策
今後流通するのが11Sであるからにはこのハブを使いこなさない事にはどうにもならんです。一番簡単かつ確実なのは非対称リムを使う事ですが思いつくのはDTぐらいで選択肢が極端に少ない。そもそも今までのハブで非対称リムを使えばもっと良いわけですけどね、
あとは11Sスルーでしょう。飯倉の読みとしては11Sが隅々まで浸透→やっぱり横剛性に問題有りでリアエンド135mm化+12S→皆さん再度買い替え→業界は潤う。こんな感じでしょうから10Sのまま数年こらえて次の大幅規格変更後に一気に買い替えでいかがでしょう。どうせブレーキが油圧ディスクになるかも知んないし、

5 thoughts on “ホイールの歪み試験の結果

  1. saimen
    2013/05/29 at 8:46 AM

    DTの非対称リムは国内代理店では現在欠品だそうです。次の入荷は6月末との事。

  2. 2013/05/29 at 1:02 PM

    32Hと36Hでも結構違いがでますか?

    1. saimen
      2013/05/29 at 7:09 PM

      今回の試験では36はやってませんが経験から言って32を36にしても横剛性に関してはあんまり変わらないですね。つまり11Sのハブで横剛性を今まで通りのレベルにしようとして36をセレクトするのは間違いだと思います。それよりもスポークを限界近くまで張るか完組ホイールにするか非対称リムを入手する方が適当だと思います。リムの剛性を高い物にするのも良いでしょう。

  3. 町乗り8速MTB乗り
    2013/05/30 at 1:02 PM

    「シマノ 11S 完組」だと、どれだけ歪むのでしょう?上下7mm/5mmぐらい?もしかして11Sハブと変わらなかったりして…

    1. saimen
      2013/06/02 at 9:21 AM

      11Sの完組では試験していないので判りませんが相応に考えられているはずですから手組より良いデーターが出るでしょう。明日シマノの安い完組ホイールRS21解体新書を撮影予定ですのでそれをお楽しみに。飯倉のヨミとしてはリアの非対称リムが相当効いていると思います。中心から3〜4mmオフセットされていますので11S化によるハブフランジのズレ分を充分に補完しています。にしてもFRペアで1.5万円は驚異的なプライスですなぁ、

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